12/15(水)に社会心理学セミナー〜好かれてると思うと頑張れる〜と題し、高知工科大学の伊藤文人先生を迎えてセミナーを行いました。
本研究集会は,神経科学専門の伊藤文人氏(高知工科大学)を招いて来場型とオンライン型の同時開催で実施された。企画目的は,人間科学に包含・隣接される分野の研究者との交流機会を設け,聴衆の研究視野が広がるきっかけを作ることであった。伊藤氏の綿密な発表構成と丁寧な解説により,異分野の者でも理解しやすく,活発な議論が生まれる会となった。
伊藤氏の発表では,印象予想(相手が自分にどのような印象を抱きそうかの予想)の研究が主軸に置かれ,自身が神経科学や現在の研究テーマを志したきっかけや,今後の神経科学研究の展望といったトピックで展開された。特に聴衆からの関心を集め,議論の中心となったのが,2020年に伊藤氏のグループが発表したfMRIと集団実験を用いた印象予想に関する研究である。伊藤氏によると,実際に会話する予定の相手(異性)の写真を見るだけでは印象予想を正確に行うことはできなかった一方,実際にその相手と直接会話することによって印象予想をある程度正確に行えることが判明したという。また,この研究では印象予想と相手への印象は脳の同じ部位で処理されていることも明らかにしており,fMRIという神経科学的手法でこその成果も示された。発表の最中には聴衆から,性別による違いなど結果に関するものや,教示内容などの研究デザインに関するもの,恋愛だけでなく就活場面への応用可能性など様々な質疑がなされ,伊藤氏との活発な議論が重ねられた。