特別論文
歴史を踏まえ、この先に生きる社会心理学研究の展開を目指すためになにをなすべきか

山口 勧・小口 孝司・三浦 麻子・永田 良昭・吉田 寿夫・大坊 郁夫
(東京大学大学院人文社会系研究科)(立教大学現代心理学部)(関西学院大学文学部)(学習院大学[名誉教授])(関西学院大学社会学部)(大阪大学大学院人間科学研究科)
 社会心理学は、われわれが生活する社会的な環境に含まれているほぼすべての要因とかかわる総合的な科学であ る。基礎的な要因の把握を踏まえながら、現実生活の出来事に働く法則性を説明し、背景にある原理を探り、生活の実 践的な工夫を促し、適応的に行動する方法を人びとに提供する。目指される目標は他者との適応的な関係を築くことで あり、相互協調的な社会を築くこと―well-being―こそが、心がけられなければならない。日々の生活シーンは、それぞ れに研究の興味を誘うものである。そのために、社会心理学の研究はえてして、断片的な、一時的な現象を列挙するだ けに終始しがちなこともあるが、時間的展望をもった上での長く持続する社会を支える研究の展開こそが求められよう。
 社会心理学の研究動向を踏まえ、社会心理学は社会にどのように活かされてきたのか(あるいは、社会の期待に応え られていなかったかも含め)、これから先を見通しながら、価値ある研究とは何か、われわれは何を求めていくべきかにつ いて、考える必要がある。社会心理学は、これまでも関連諸科学の進展と結びつきながら変化してきている。安易に耳 目を引くのではなく、どのような人間観、社会価値を踏まえているのかが研究として重要であろう。Reality があり、かつ、 個人、社会のwell-being を高めていくための研究展開の方法、課題を追究すべきである。


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